橋のリハビリテーション

 リハビリといえば、病気や怪我で傷付いた体の機能を回復して社会復帰することだと思われるでしょう。
 そう、その通りです。橋の場合にも同じ事が起こります。永年の間に老朽化したり、事故で傷んだ橋を健全な姿に戻して社会復帰させる。その技術が橋のリハビリ技術です。

 世界に先駆けて大きな橋を作った欧米諸国では、老朽化が深刻です。「荒廃するアメリカ」で話題になったように、1970年代アメリカ合衆国の各地で老朽化した橋が相次いで落ちました。 昨日まで何事もなく通っていたのに、突然車もろとも冷たい河に落とされて多くの人々が犠牲になる。その有り様を見て、人々は橋を渡る時、恐怖に襲われたとまでいわれました。

 現在では、橋の検査態勢も充実して、危険な橋から順番にリハビリ工事が行われて落橋事故は少なくなりました。 欧米諸国より少し遅れて社会資本を充実してきた日本でも、もう間もなくリハビリ工事を組織的に実施することが必要な時代に入るといわれています。
 当社では、米国リヒテンシュタイン設計事務所(Lichtestein Engineers Corp.)と技術交流しながら、日本の大学とも協力して、新しい橋梁リハビリテ−ション技術の開発に取り組んでいます。

リハビリテーション工事例

●疲労き裂が発生した例

 
         桁端切欠部に発生                    当て板補強後

 疲労き裂を発見したら、き裂長さが限界き裂長さに達して構造物が崩壊するまでの時間を推定し、それまでに補強等の疲労対策を実施します。
 荷重繰り返し数と応力拡大係数は両対数グラフで直線関係となることが知られています。 このグラフの傾きがき裂進展速度に相当しますので、応力拡大係数を計算して、き裂進展速度を求め、き裂が不安定成長する限界の応力拡大係数KICに達するまでの荷重繰り返し数を求めることができます。 構造物が崩壊するまでの時間を推定することができます。

 他の方法、例えばき裂が荷重により開閉しているかどうかを観察する、あるいは錆が発生している状況からき裂進展速度を推定することも実用的には有効な方法です。

 上の例では主桁端部の掛け違い部のR部すみ肉溶接から発生したき裂がウェブに進展しています。応急処置として、き裂先端にストップホ-ルを開けてき裂先端の応力集中を小さくし、その後当て板補強した例です。 場合によってはき裂先端にストップホ−ルを開けることにが恒久措置と考えられることもありますが、本例ではウェブ断面積が20%近く減少していることもあり当て板で補強されました。